前回、洗濯機の故障は「洗剤の溶け残り」が大きな原因であるとお話ししました。
しかし、実はもう一つ私たちが知っておかなければならない故障原因があります。それが「フィルター汚れ」。フィルター掃除は結構軽くみている人も多いんですが、実は超重要です。
洗濯機のフィルターは簡単にいうと「洗濯機を守る最後の砦(とりで)」。洗濯・乾燥する際大量にでる糸くずやホコリ等々…故障の原因となる厄介者を全部受け止めてくれるんですね。
つまりフィルターがないとゴミが溜まり放題、詰まり放題。どれだけ危険か想像できるでしょう。
家電レスキューに出動した際も「フィルター掃除さえきちんとしておけばこの故障防げたのに!」と思うことが多々あります。
縦型洗濯機には1種類、ドラム式洗濯機には2種類のフィルターが付いています。今回はそれぞれのフィルターの役割とお掃除方法についてご説明します。
重要なのはフィルターの役割をしっかり理解し、こまめにお掃除すること。
そうすることで多くの洗濯機トラブルが未然に防げます。そんなに難しいことでもないので、今日からぜひ!実践してください。
縦型洗濯機の「糸くずフィルター」の役割とお掃除方法
縦型洗濯機には「糸くずフィルター」が付いています。その役割と2つある形状とお掃除方法について詳しくみていきましょう。
「糸くずフィルター」とは
文字通り衣類から発生した糸くず等の細かいゴミやホコリを受け止めてくれるフィルターです。
「糸くずフィルター」には【ネットタイプ】と【プラスチックタイプ】の2種類があります。
1. 【ネットタイプ】の「糸くずフィルター」
少し古い洗濯機であれば大体このタイプ。手のひらサイズの小さなネットが洗濯槽の内側でヒラヒラしていると思います。
「水流により破れやすい」「目詰まりしやすい」等の欠点がありますが、目につきやすいので意外とこまめにお掃除している人が多いようです。
2. 【プラスチックタイプ】の「糸くずフィルター」
【プラスチックタイプ】の「糸くずフィルター」は、洗濯槽の内側に張り付いています。最近の縦型洗濯機に付いているのは、この【プラスチックタイプ】のものがほとんどです。
【プラスチックタイプ】は【ネットタイプ】よりかなり丈夫。目詰まりの心配もほとんどありません。
しかし洗濯槽の内側に張り付いているので「目につきにくい」という大きなデメリットがあります。つまり汚れがたまっているのに気づきにくいんですね。意識して確認するようにしましょう。
「糸くずフィルター」の掃除を怠った場合の洗濯機トラブル
「糸くずフィルター」のお掃除を怠ってしまう(=ゴミでいっぱいになったまま放置している)と下記のようなトラブルに発展します。
①洗濯時に衣類からでた糸くずやホコリが他の衣類に付着する
→「洗い上がりがなんだか汚い」と感じるときはこれが原因かも。
②「糸くずフィルター」の中で黒カビや雑菌が繁殖する。
→洗濯機の中は常に湿気があるので黒カビや雑菌が繁殖し放題。それが衣類を汚染します。
③糸くずやホコリ等のゴミが内部配管や排水口へ流れてたまり、やがてヘドロ化。詰まりの原因に。
→水漏れ、排水不全など様々な故障を引き起こします。
「糸くずフィルター」のお掃除方法
【ネットタイプ】・【プラスチックタイプ】でフィルターのお掃除方法が異なります。各種詳しくみていきましょう。
【ネットタイプ】の場合お掃除方法
①ネットを洗濯機本体から取り外して、付着しているゴミを取り除く。
②ゴミが取れない場合はネットを一旦乾燥させてみる。
→ポロッと気持ちよく取れます。
③目詰まりしている場合は古い歯ブラシなどを使い擦る。
④黒カビや水垢が気になる場合は漂白剤につけ置きする。
→黒カビや雑菌の繁殖を防ぐ意味でもたまにするのがオススメ。
⑤お掃除が完了したら必ず乾燥させてから洗濯槽に戻す。
→湿ったまま戻すと、取りきれなかった雑菌が再び繁殖してしまいます。
<お掃除の頻度(目安)>
ネットは小さいのですぐに糸くずやホコリでいっぱいになってしまいます。雑菌の繁殖を防ぐ意味でも洗濯するたびにお掃除しましょう。
【プラスチックタイプ】の場合のお掃除方法
①洗濯機本体からプラスチックケースごと取り外す。
②ケースのフタを開けて中に入っているゴミを取り除く。
③本体そのものについた水垢やぬめり等の汚れを拭き取るor洗い流す。
→歯ブラシなんかを使うときれい落とせます。
④黒カビや水垢が気になる場合は漂白剤につけ置きする。
→黒カビや雑菌の繁殖を防ぐ意味でもたまにするのがオススメ。
⑤お掃除が完了したら必ず乾燥させてから洗濯槽に戻す。
→湿ったまま戻すと、取りきれなかった雑菌が再び繁殖してしまいます。
<お掃除の頻度(目安)>
【ネットタイプ】よりかなり容量が大きい【プラスチックタイプ】ですが、最低でも一週間に一回はお掃除するように心がけてください。雑菌の繁殖を防ぐ意味では洗濯のたびにお掃除するのが理想です。
【ネットタイプ】と【プラスチックタイプ】どちらの糸くずフィルターも消耗品です。特にネットタイプは耐久性が低いので、古くなったり、カビが取りきれなくなったりしたら迷わず買い換えましょう。数百円で購入できます。
ドラム式洗濯機の「乾燥フィルター」と「排水フィルター」の役割とお掃除方法
ドラム式洗濯機には「乾燥フィルター」と「排水フィルター」の2つが付いています。詳しくみていきましょう。
「乾燥フィルター」とは
ドラム式洗濯機の上部に付いている、乾燥時に発生する糸くずやホコリ等を受け止めてくれるフィルターです。
これは乾燥機を使うごとに毎回!必ず掃除してください!!
取扱説明書にしっかり書いてあるし、買ったときにも間違いなく「乾燥機を使うごとにお掃除してください」と説明を受けているはずです。その位重要。
1回の乾燥でびっくりするほどゴミがたまります。
「乾燥フィルター」の掃除を怠った場合の洗濯機トラブル
「乾燥フィルター」のお掃除を怠ってしまう(=ゴミでいっぱいになったまま放置している)と下記のようなトラブルに発展します。
①乾きが悪くなる
→生乾きや乾燥ムラが頻繁にでるようになったら要注意!
②悪臭がする
→生乾きの時間が長いので雑菌が繁殖、それが悪臭の元になります。
③乾燥効率が悪くなり電気代が上がる
→乾燥時間が長くなるので、その分電気代がかかります。
ちなみに、ドラム式洗濯機で意外と多いのが2番目の悪臭トラブル。
乾燥フィルター以外にも、洗濯槽自体に雑菌が繁殖している、排水トラップ(下水の匂いが上がってくるのを防ぐもの)がないor詰まっている等様々な原因が考えられます。この辺はまた次の機会にご説明しますね。
「乾燥フィルター」のお掃除方法
ここでは一般的なお掃除方法の一部をご紹介します。が、お掃除方法はメーカーや機種により様々。まずは付属の取扱説明書をしっかり読みましょう。
※メーカーや機種によっては、このブログの内容と異なる場合もありますのでご注意ください。
①洗濯機上部に付いている乾燥フィルターをカポッと取り外す。
②フタを開いて中にあるゴミを取り除く。
→機種によっては掃除機で吸い取るよう指示しているものもあります。
③かたく絞ったタオルで拭く。
→フィルターの目が詰まっている場合はぬるま湯でやさしく洗い流すのも効果的。
④しっかり乾燥させてから洗濯機本体に戻す。
→湿ったまま戻すと雑菌や黒カビが繁殖します。
<エラーコードがでた場合のお掃除方法>
乾燥フィルターを毎回きちんとお掃除していても、洗濯機正面のディスプレイにU04という“乾燥機トラブル”を意味するエラーコードがでる場合があります。(※U04という表記はメーカーにより異なる場合があります)。
「乾燥フィルターにはほとんどゴミがないのに」と戸惑う方が多いんですが、そんな時は乾燥フィルターを外した後の洗濯機本体奥をよ〜く観察してください。
まぁるく空いた排気用ダクトの奥にモコモコのホコリが…見えませんか?それが原因です。
この排気用ダクトにたまったホコリを取るのはすごく大変。
ダクトはほぼ直角に曲がり下に伸びています。洗濯機をキズづけない程度の細長い“何か”を使い、届く範囲のホコリを地道に取り除くしかありません。
布を巻いた針金を駆使したり、掃除機の吸引パワーを利用したり(ダクトの掃除用に掃除機にかぶせる専用ノズルを付属品としてつけているメーカーもあります)。取れる範囲のホコリを取ったら再びスイッチオン。
それでもエラーコードが消えない場合は洗濯機本体を分解してホコリを取り除く必要があります。
自分で分解することもできなくはないんですが、正直あまりオススメしません。これで壊しちゃう人、結構多いです。できればカデンのエトウにお電話ください。
普段から乾燥フィルターの奥の排気用ダクトもチェックして、ホコリが目立ってきたなぁと思ったらその都度こまめにお掃除しましょう。重症化する前に対処する、それが一番です。
では次に、「排水フィルター」の説明です。
「排水フィルター」とは
排水フィルターとはドラム式洗濯機の下部に付いているフィルターです。
内部に収納されているのでパッと見わかりにくいのですが、洗濯時にでる糸くずやホコリ、洗剤の残りカスなんかを受け止めてくれる、ものすごく重要なフィルターです。
メーカーによっては「糸くずフィルター」と呼んでいる場合もあります。
「排水フィルター」の掃除を怠った場合の洗濯機トラブル
「排水フィルター」のお掃除を怠ってしまう(=ゴミでいっぱいになったまま放置している)と下記のようなトラブルに発展します。
「排水フィルター」にたまったゴミがヌメヌメ・ドロドロ…ヘドロ化する。
↓
水の流れをせき止める。
↓
排水スピードが極端に遅くなる。
(通常2分ほどですむ排水が10分以上かかる場合も!!)
↓
水漏れ、排水不全など様々な症状を引き起こす。さらに汚水が洗濯機内部を汚し、重大な故障を引き起こす場合も!!
ね、恐ろしいでしょう? 少なくとも1ヶ月に1〜2回は掃除するようにしましょう。
【注意!】「排水フィルター」の大敵は紙オムツ
紙オムツは非常に危険!間違えて洗ってしまうともう取り返しがつきません。水を吸収してブヨッブヨになり…「排水フィルター」が一発で詰まります。
小さなお子様がいるご家庭は細心の注意を払いましょう。
「排水フィルター」のお掃除方法
①下部に内蔵されている「排水フィルター」を抜き取る。
②アミ状のフィルターに付着しているゴミを丁寧に取り除く。
③本体のぬめりを拭き取るor洗い流す。
④しっかり乾燥させてから洗濯機本体に戻す。
→湿ったまま戻すと雑菌や黒カビが繁殖します。
【裏技】市販のごみ取りフィルターをかぶせるとお掃除がラクになります
「排水フィルター」はアミ状になっているので細かい部分に絡んだホコリや髪の毛を取るのが大変。
市販の「ごみ取りフィルター(商品によって名称は異なります)」を使うとかなりラクになります。
要はアミ状になった排水フィルターの上に敷く“敷物”です。これを敷いておけば、お掃除するときはその敷物ひょいと持ち上げるだけでOK。超ラクチンです。
本体にはヌメリなんかが付いていますので、拭くor洗い流して下さい。
<エラーコードがでている場合はお掃除だけではすまないかも…>
洗濯機正面のディスプレイにU11という“排水トラブル”を意味するエラーコードがでる場合があります。 (※U11という表記はメーカーにより異なる場合があります)。
まずは「排水フィルター」の汚れを疑いましょう。
汚れにより排水スピードが極端に遅くなると、洗濯機が「排水弁(この弁を開閉することで洗濯機内に水を溜めたり、排水したりする)の故障」を疑ってエラーコードを表示することがあるからです。
「排水フィルター」を掃除してもエラーコードが消えない場合は以下のような原因が考えられます。
【排水ホースの詰まり】
洗濯機と排水溝をつなぐホースの中に汚れがたまり、詰まっている場合。これは市販の専用クリーナー等で洗い流せます。何かで押しつぶされている、冬場だと凍結している可能性も考えられます。
【排水溝の詰まり】
洗濯機の水が流れていく先、つまり排水溝が詰まっている場合。髪の毛や糸くずが水の流れをせき止めていることが多々あります。お掃除しましょう。
【排水弁の故障】
本当に排水弁が故障している場合。排水弁は洗濯機に内蔵されているのでこれはプロに修理を依頼するしかありません。
洗濯機の排水トラブルはとても多く、しかも複雑。上記はほんの一例です。
「排水フィルター」、「排水ホース」、「排水溝」を掃除してもエラーコードが消えないようならカデンのエトウにお電話ください!
まとめ
今回は洗濯機が故障する大きな原因「フィルター汚れ」についてご説明しました。
まず、自分の家にある洗濯機にどんなフィルターが付いているのかを知り、その役割をきちんと理解しましょう。役割が理解できればフィルター掃除の大切さがわかるはずです。
また、今回ご説明したフィルターのお掃除頻度はあくまで目安。洗うもの、洗濯機を回す回数によってたまるゴミの量は大きく変わります。自分の目で確認する習慣をつけると良いと思います。
最後に簡単にまとめておきますね。
縦型洗濯機
◯糸くずフィルター
衣類からでる糸くず等のゴミを受け止めるフィルター。これがないと排水口や内部配管にゴミがつまり故障の原因に!黒カビの温床になる場合も。
- ネットタイプ:できれば洗濯するたびに掃除を。
- プラスチックタイプ:最低でも1週間に1度掃除を。理想は毎回。
ドラム式洗濯機
◯乾燥フィルター
乾燥の際にでる糸くずやホコリを受け止めるフィルター。乾燥機を使う度に必ず掃除をしてください。放っておくと乾きが悪くなったり、異臭の原因になったりします。
◯排水フィルター
洗濯の際にでる糸くずやホコリを受け止めるフィルター。1ヶ月に1〜2回は必ずお掃除しましょう。排水トラブルは危険です。放置しておくと重大な故障を引き起こす可能性があります。
フィルター汚れは洗濯機の大敵ですが、お掃除さえきちんとしておけば洗濯機トラブルをぐ〜んと減らしてくれるありがたいものでもあります。
お掃除頻度が高いので面倒臭いと感じてしまうかもしれませんが、1回にかかる時間はほんのちょっと。習慣にしてしまえば、いつの間にか気にならなくなるレベルです。
日々の努力で快適家電生活を目指しましょう。